三島由紀夫 これだけはおさえておきたい!おすすめ5作品【名作】

金閣寺 文学

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昭和を代表する作家 三島由紀夫。(1925〜1970)

1970年11月25日、自衛隊市ヶ谷駐屯地にて自決。

その衝撃的な最期から、政治的なイメージが強く敬遠している人が多いのではないでしょうか?

「難しそう」「作品が多すぎてどれを読んでいいか分からない」

そんな方のために、初心者でも読みやすい作品を選んでみました。

もず
もず

海外ではかなり読まれている日本の作家です。

正しい日本語文法、美しい比喩、細かな心理描写、精巧な構成―。

どの作品も三島由紀夫の美点を備えたものばかりです。

三島由紀夫のおすすめ小説ナンバーワン! 『宴のあと』

 1960年1月号から10月号に連載された長編小説。

『宴のあと』(うたげのあと)

新潮文庫。

225ページ。

全19章。

それぞれの章に「雪後庵」「霞弦会」などのサブタイトルがついています。

あらすじ

小石川にある高級料亭「雪後庵」(せつごあん)。

料亭の女主人は福沢かづ。

50歳を過ぎてもなお、元気で美しい女将は商売上手。

独身でパワフル。

雪後庵には政界の大物が出入りし、業界で確固とした地位を築きました。

かづは老後資金をしっかりとため、悠々自適。

精力的に活動する毎日を送っていました。

ある時、常連客から「雪後庵で元大使たちの会合を開きたい」と持ち掛けられます。

その会に出席した野口雄賢(のぐちゆうけん)という元大使・元大臣との出会いが、福沢かづの人生を大きく変えることになります。

50を過ぎ、もう恋愛は自分の生活をみださない、と諦観していた福沢かづ。

ほかの元大使のような昔話や自慢話をしない野口の実直さと理想主義に心を打たれます。

野口雄賢に恋をしたことで、かづは否応なく政治の世界に巻き込まれていきます。

福沢かづを妹のようにかわいがっていた保守党の大物 永山元亀(ながやまげんき)にとめられても

野口との結婚に踏み切るのですが―。

感想

政治と恋愛、エリートと民衆、観念と行動、理想と現実。

あらゆるものの対立と葛藤に投げ込まれる天真爛漫なヒロイン かづがパワフルで魅力的

1961年、小説のモデルと目された有田八郎からプライバシー侵害で訴えられたことであまりにも有名な本作。

ですが、作品の持つ価値と魅力はいささかも減じていません。

魅力的な登場人物、徹底した心理描写、料理の一品一品から着物の帯留めに至るまでの細部描写、構成の美しさ。

三島由紀夫の作品中、最も完成度が高い作品と言っても過言ではないと思います。

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ちょろ
ちょろ

読後、何年たってもふとした拍子にかづや雄賢の服装、料理などを思い出すことがあります。

もず
もず

登場人物に血が通っているんですよね。生き生きとしています。

実在の事件を元にした小説『金閣寺』

三島由紀夫の代表作。

『金閣寺』(きんかくじ)

1956年1月号〜10月号まで『新潮』にて連載。

1950年7月2日に起きた『金閣寺放火事件」に着想を得た作品。

あらすじ

「幼時から父は、私によく、金閣のことを語った」―

京都府舞鶴市の東北に位置する岬で生まれた主人公 溝口。

貧しい寺の住職をしている父は溝口に金閣寺の美しさを語っていました。

溝口は生まれつき体が弱く、運動神経は鈍く、引っ込み思案。

しかも、発語障害がありました。

周囲から孤立した溝口は、ですがおとなしいだけの青年ではありません。

自分は僧侶になる―。

あらゆるものは最後には自分の世話になるという暗い支配欲と全能感。

近隣に住む裕福な家庭の娘 有為子(ういこ)を待ち伏せするなど突発的な行動力を持っています。

知り合いのつてで金閣寺に修行僧として入ることになった溝口。

思っていたほど美しくなかった金閣寺にいったんは失望しますが、想像の中で重要な地位を占めていきます―。

感想

現実の事件を題材にしながらも、溝口は見事に三島由紀夫的な登場人物

生い立ち、交友関係、信仰と絶望、現実社会との折り合いの悪さ。

鬱屈した青年の内部を描き切った代表作です。

同じ事件を元にした水上勉の『五番町夕霧楼』と読み比べるのも一興です。

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ちょろ
ちょろ

この作品は何度も映画化されています。

もず
もず

仲代達矢、篠田三郎などが主演をしていますね。

豊饒の海四部作の記念すべき第一作 『春の雪』

三島由紀夫の最後の作品となった『豊饒の海』(ほうじょうのうみ)四部作。

「春の雪」「奔馬」「暁の寺」「天人五衰」からなります。

作品の元になったのは『源氏物語』にも影響を与えた古典『浜松中納言物語』。

数奇な運命を持つ青年と輪廻転生の物語です。

1965年から『新潮』にて連載。

1970年自決前に入稿されたライフワークでした

あらすじ

 新華族 松枝侯爵の令息 松枝清顕(まつえだきよあき)。

非常に容姿に恵まれた青年ですが、学業やスポーツに熱中することのない性格です。

清顕は幼少時代、「雅」を学ぶために堂上華族である綾倉家に預けられていました。

物事に精力的に取り組む松枝侯爵は息子の惰弱ぶりは綾倉家での教育に原因があるのでは?と自分勝手な後悔をしています。

綾倉家の一人娘 綾倉聡子(あやくらさとこ)は清顕より2歳年長。

12歳で皇族と結婚してもいいように行儀作法、和歌などの教養を身に着けた美しい令嬢です。

聡子は子供時代から清顕を慕っていて清顕もそれを知ってます。

しかし、年上の余裕を見せる彼女に清顕は子供らしい反抗を見せます。

わざと聡子に嫌がられるような言動をとる清顕。

ささいなことから二人の関係はぎくしゃくしてしまいます。

そのうちに清顕の父、松枝侯爵が聡子に皇族との縁談を持ち込みます。

堂上華族とはいえ、家計がひっ迫している綾倉家にとっては願ってもいない縁。

松枝・綾倉の両家は話を進め、勅が下りた瞬間、清顕は聡子に執着を見せます。

「美しい禁忌」となった聡子。

ふたりは逢瀬を重ねますが…。

感想

2005年 東宝映画にもなった『春の雪』。

妻夫木聡、竹内結子が共演し、当時の風俗を再現したことで話題になりました。

出演は及川光博、大楠道代、宮崎美子、山本圭、高畑淳子、岸田今日子、榎本孝明ほか。

ちょろ
ちょろ

生前の三島由紀夫に芝居を付けてもらった岸田今日子が出ているのは大きいですね。

もず
もず

映画館で見たけれど妻夫木聡の清顕は見事でした。

貴族の令息と令嬢の悲恋。

夢や現実、上流階級の世界が垣間見られる美しい作品です。

三島由紀夫は学習院出身のため、上流階級を描くと説得力がありますね。

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四部作全て読むのが正しいのでしょうが、単体でも充分に読み応えのある小説です。

ちょろ
ちょろ

プルースト『失われた時を求めて』も『スワンの恋』だけで映画化されたことがありますね。

もず
もず

松枝清顕は嫌な男ですが、聡子との悲恋は胸を打ちます。

海外でもよく読まれている作品。

美しい悲恋の物語として今なお、読者の心をとらえているようです。

同じ輪廻転生を扱っても佐藤正午の『月の満ち欠け』とはアプローチが違います。

作家性の違いがとてもおもしろいですね。

冒頭の一文が印象的 『仮面の告白』

1949年川出書房より出版された三島由紀夫の第二長編。

あらすじ

「永いあいだ、私は自分が生まれたときの光景を見たことがあると言い張っていた。」

こんな一文から始まる、半自伝的な性格を持つ小説です。

生まれてすぐに母親から引き離され、祖母の元で育てられた幼少時代。

自分の、他の人とは違う「性癖」に気づき、苦悩する青春時代。

周囲に悟られないために、自分を隠した青年時代。

わざと女性との関係に慣れているふりをしたり、同級生に恋慕と嫉妬を同時に感じたり―。

やがて友人の妹 園子(そのこ)と出会い、表面的には恋人同士となるのですが…。

 その内容から反響を呼び、成功をおさめた作品。

感想

初版の限定豪華本はガラス製の美麗な装丁だったことからも三島由紀夫、出版社の力の入れ具合が分かるというもの。

いうまでもなく「仮面の」告白なので、書かれていることは=三島由紀夫の半生とはなりません。

が、当時の日本の風習や風俗描写がとても面白い作品。

ちょろ
ちょろ

女性の車掌さん、川端康成の小説にも時々出てきますね。

もず
もず

戦前は「天長節」(現在の天皇誕生日)を祝っていたんですね。

現代でも上演される作品 『近代能楽集』

1956年に新潮社から出版された三島由紀夫の戯曲集。

のちに収録作品を増やして文庫本化されました。

謡曲を現代に翻案。

能楽の持つ、シンプルで哲学的な舞台装置を見事に生かした一幕もの。

内容は以下の8曲です。

「邯鄲」(かんたん)

「綾の鼓」

「卒塔婆小町」(そとばこまち)

「葵上」(あおいのうえ)

「班女」(はんじょ)

「道成寺」(どうじょうじ)

「熊野」(ゆや)

「弱法師」(よろぼし)

元ネタを知らなくても楽しめるところがいいです。

今でも海外でも上演されることのある演目。

ちょろ
ちょろ

昔、藤原竜也が蜷川幸雄演出で「弱法師」を演じました。海外でも好評だった様子。

「熊野(ゆや)」や「綾の鼓」のような女性の二面性を描いた皮肉な作品から、形而上学的なものまで主題が幅広いです。

日本の古典に造詣が深かった三島由紀夫ならではの作品。

1960年に『サロメ』の演出をしたり、1961年に江戸川乱歩の『黒蜥蜴』を戯曲化したりした三島由紀夫。

舞台演劇に対する情熱や知識は付け焼刃のものではないことがうかがえる一冊です。

もず
もず

『サロメ』で裏方だった岸田今日子を主演に起用したり、美輪明宏を見出したり…

ちょろ
ちょろ

いい役者を見抜く目を持った作家だったよね。

芥川龍之介の長男 芥川比呂志はシェイクスピア俳優でした。

舞台を中心に活躍しましたが、映画にも出演。

今でも樋口一葉原作の『十三夜』などで芥川比呂志の演技を見ることができます。

彼のエッセイの中に三島由紀夫が登場します。

よく笑う、明るい人物として描かれていました。

演劇人との交流が好きだったんですね。

日本未公開映画『MIshima:A Life In Four Chapters』(1985)

ポール・シュレイダー監督。

この映画は三島由紀夫の人生を4つの作品と絡めて描いたもの。

映画で描かれた『金閣寺』は『近代能楽集』的な演出でした。

主人公 溝口が大学で知り合う、足の不自由な同級生 柏木を若き日の佐藤浩市が演じています。

シンプルな舞台装置の中で役者の存在感が光りますね。

ちょろ
ちょろ

三島由紀夫を演じた緒形拳のなりきりっぷりがすばらしい!

ま と め

 三島由紀夫の魅力はなんといっても美しい日本語。

正しい文法、華麗な比喩、古典に対する造形の深さ、言葉選びのセンス。

あらすじを知っていても読んで楽しめる作家です。

食わず嫌いはもったいないので、この機会にぜひ手に取ってみてください。

読みやすい作品のタイトルとあらすじを載せておきます。

『愛の渇き』(あいのかわき)
夫を亡くした悦子は舅の営む果樹園に身を寄せる。
果樹園と言っても趣味半分のもので、義兄・義姉と雇われ庭師・女中で切り盛りされている小さなもの。
悦子は、昼は果樹の世話、夜は舅 弥吉との歪んだ肉体関係に身をゆだねる日々。
唯一の光明は庭師 三郎の健康的な若さと明るさだった。
そんな中、女中 美代の妊娠が発覚し―。
いびつな人間関係、心の休まらない家庭、妄想と現実。
理解しあえない人間たちの小さな衝突が、思いもよらない結末へと突き進む。

『音楽』(おんがく)
精神分析医 汐見のもとに妙齢の美女が患者としてたずねてくる。
彼女の名前は弓川麗子。
彼女は汐見に「音楽が聞こえない」と謎めいた症状を訴える。
実はこれは不感症であることの隠喩。
麗子には恋人がいるのに、彼に反応できないのだ。
汐見は診療を続けるが、麗子の態度は腑に落ちないもの。
彼女の言葉には噓が多いのだ。
本当に治療を続けたいのか否か。
汐見の看護婦 山内明美は麗子への不信感を隠さない。
麗子の素行はトラウマによるものか、それとも―。
ある日、汐見はあることに気が付き、麗子に突き付けるが…。

『潮騒』(しおさい)
伊勢湾に浮かぶ小さな島 歌島。
漁師の新治は明るく健康的な18歳の若者。
ある日、浜辺で美しい少女 初江を見かける。
彼女は島の有力者 宮田の娘。兄が死んだために島に戻ってきたのだ。
ふたりは惹かれあうが、島には新治に好意を持つ娘 千代子、初江に取り入ろうとする安夫がいて…。
初恋の男女が苦難を経て結ばれる、清々しいラブストーリー。
何度も映画化されている三島由紀夫の人気作。
三島由紀夫版『ダフニスとクロエ』。

もず
もず

『ダフニスとクロエ』はギリシアの恋物語。岩波文庫版はボナールの挿絵がついているのでおすすめ。

『美徳のよろめき』
節子は28歳の専業主婦。
親が決めた相手と結婚し、かわいい一人息子がいる。
良家に育った節子は、結婚前に異性とのかかわりがなった。
一度、土屋という同じ年の青年とキスをしただけだった。
夫の一郎が節子にかまわなくなり、節子は子供っぽい空想を楽しむようになる。
ある時、土屋に再会。
まだ独身の土屋に比べ、人妻である節子。
経験から来る優越感で土屋とキスをするが、それを機に節子は不倫にのめりこむことに…。
「よろめき夫人」なる流行語を生みだした作品。
当時の風俗やファッションが垣間見られて興味深い。

『午後の曳航』
横浜に住む房子はシングルマザー。
夫亡き後、輸入洋品店を営み、一人息子の登を育てている。
登は13歳。
中学校には良家の子弟が多いため、やや肩身の狭い思いをしている。
鬱屈から、登は壁の隙間から母親の部屋を覗く倒錯した趣味を持っていた。
ある日、船が好きな登は房子にねだり、貨物船の見学に行くことに。
それが発端となり、航海士 竜二と出会う。
登は海の男である竜二を英雄視。
房子と竜二は惹かれあい、付き合うことになる。
だが、登が竜二を慕っていることを中学の同級生グループに話すと事態は最悪の方向に進んでいく―。
少年たちの残酷さを描き、イギリスで映画化された作品。

『青の時代』
1948年、実際に起きた東大生による闇金融事件をモデルにした作品。
名家に生まれた秀才の青年が犯罪に手を染めていく様を克明に描く。
 川崎誠は医師で地元の名士であった父親のもと、厳しく育てられる。
だが、誠は父親を「偽善者」と軽蔑していた。
なんとかして父親に一矢報いたい―。
誠は東大に入り、教授になろうと努力するが戦争経験から虚無的になってしまう。
そんな時、ある女性と出会い誠は「金」の力に取りつかれることに…
「アプレゲール(戦後派)犯罪」の代表とされる事件で、高木彬光『白昼の死角』にもインスピレーションを与えている。
読み比べてみるとおもしろい。

『永すぎた春』
大学生 宝部郁雄は大学のそばにある古本屋の娘 百子と出会う。
まじめな郁雄と明るくて機転の利く百子。
すぐに惹かれあう中になる。
お似合いのふたりだが、郁雄は良家の子弟。
「身分違い」として結婚を許してもらえなかった。
紆余曲折を経て、ふたりは婚約するが、結婚は郁雄が大学を卒業してからという条件が出される。
郁雄と百子は長すぎる婚約期間中に、大きなトラブルに巻き込まれることに…。
「永すぎた春」は大ヒットしたため、タイトルが流行語になった。
嫉妬、見栄、体裁、裏切りなど人の業(ごう)を感じさせる要素があるものの明るい読後感。

『夜会服』
製薬会社の令嬢 稲垣絢子(いながき あやこ)は乗馬クラブで滝川夫人と懇意になる。滝川夫人は元外交官夫人で、元男爵の令嬢。親子ほどの年の差があるが、滝川夫人は絢子をかわいがる。ある日、滝川夫人は絢子に自分の息子 俊男を紹介する。眉目秀麗、語学堪能でスポーツマン。非の打ち所がない好青年だ。ふたりはお見合いをし、婚約。優しい将来の母、あまりの完璧さに絢子の弟 一郎が「スーパーマン」と呼ぶ婚約者。だが、交際を重ねるうちに絢子は滝川親子の間にある溝に気づき…。
完璧すぎる結婚話に揺れる女性の心、家庭内の思惑、周囲の反応がリアル。三島由紀夫が得意とする上流階級を舞台にした話でとても読みやすい。
「空の巣症候群」が喧伝される前に書かれた作品で、三島由紀夫の先見性が感じられる。

『女神』
女性の美に固執する周伍は妻 依子を美の化身として徹底的に作り上げた。
衣装・髪型・化粧・立ち居振る舞い・香水の種類に至るまで指導。
最初は夫の助言にへきえきしていた依子も、周伍の美意識を信じるようになる。
信頼が行き過ぎて依子は「美しくなければ価値はない」と思い込むまでに。
しかし、戦時中の事故で依子は顔の半分にやけどを負ってしまう。
醜くなった自分に、生きる価値はない―。
依子はそんな歪んだ価値観を自分に植え付けた周伍を恨むようになる。
周伍と依子の一人娘 朝子が13歳になったとき、周伍は娘に「美」を見出す。
依子は外見ばかりで中身が育たなかった、今度こそ朝子を本物の「美女」に教育しようとするが…。
観念的だがかなり読みやすい短編集。

ちょろ
ちょろ

周伍が朝子の日傘を選ぶシーンは、細かすぎて読んでいるこちらもいらいらしてきます。臨場感がありますね。

『サド侯爵夫人』
フランスの貴族で、その不品行によって投獄されたサド侯爵。
彼の妻ルネは投獄中の夫を献身的に支えるが、いざ出所するとなると別れを告げる―。
理不尽に見える妻の心中を描く戯曲。
サド侯爵の周囲にいた6人の女性の会話で成り立っている。
国内外で何度も舞台にかけられている作品。
日本のサド侯爵研究で名高い澁澤龍彦は三島由紀夫の友人。三島の小説にモデルとして登場したことがある。

戯曲『サド侯爵夫人』、とてもおもしろいです。

もず
もず

上演された時の写真を見たことがありますが、フランス貴族の衣装がゴージャスでした。

興味のあるものがきっとみつかるはずです。

「週刊プレイボーイ」に連載されていた『命売ります』のようにとても読みやすい作品があります。

自殺願望のある青年が自分の命を売ろうとしますが―。

ユニークな設定なので2018年にドラマ化されました。

三島由紀夫版『新アラビアンナイト』といった趣(おもむき)。

ちょろ
ちょろ

『宝島』で有名なスティーブンソンの小説。その中に「自殺クラブ」という組織が出てきます。

笹沢左保が同じタイトルで連作ミステリーを書いたことがありますね。

重厚な心理小説から軽いものまで書けるのが三島由紀夫の魅力です。

【三島由紀夫】

本名 平岡公威(ひらおか きみたけ)

小説家・劇作家。東京生まれ。

学習院の中等科在学中から執筆をはじめ、短編集『花ざかりの森』を発表。

東京大学法学部卒。元大蔵省官僚。

日本浪漫派に影響を受け、透徹した方法論の元に緻密な世界を構築。

のちに作風は唯美主義から古典的な均整を求める方向に移行した。

代表作は『仮面の告白』、『金閣寺』ほか。

『愛の渇き』『禁色』などの問題作を次々に発表した。

後年、思想的に右傾化。

『憂国』『英霊の声』などを発表。

自らが組織した『楯の会(たてのかい)』の会員と共に自衛隊内に乱入。決起を訴えたが果たせず割腹自殺を遂げた。

以上、『ブリタニカ』から一部抜粋

生前から世界的な名声が高く、ノーベル賞候補に名前が挙がっていた。

川端康成が世界的に注目されるきっかけを作ったと言える。

【三島由紀夫の本の選び方】

選択肢がほとんどなく、主要作品は新潮社の一択。

三島由紀夫が無類の書籍好きだったためか、電子書籍化されている作品はないのが現状。

海外に留学した学生など、三島由紀夫が読みたくなることがあると聞くので電子書籍化が待ち遠しい。

現在のところ、三島由紀夫の作品を電子書籍で読むには自炊しか方法がない。

お付き合いいただき、ありがとうございました。

少しでも参考にしていただけるとうれしいです。

よろしかったらこちらもどうぞ。

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