【漫画】松苗あけみの『松苗あけみの少女まんが道』の感想

漫画

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主に1980〜1990年代に活躍した少女漫画家 松苗あけみ。

代表作は『純情クレージーフルーツ』『僕は天使に嘘をつかない』『山田くんと佐藤さん』『HUSH!』など。

かわいらしい登場人物、透明感のある瞳の表現が特徴です。

『ぶ〜け』を中心に活躍していましたが、90年代には青年誌にも進出していました。

一条ゆかりのアシスタントだったことで知られていますね。

そんな松苗あけみが少女漫画家人生を振り返って描いた『松苗あけみの少女まんが道』をご紹介したいと思います。

もず
もず

お若い方には三浦しをんのエッセイイラストでおなじみの漫画家さんですね。

松苗あけみの画力のルーツ ご実家が経師屋

 読んで一番納得したところ。

松苗あけみのご実家は表具店(経師屋)だったという事実。

ふすま・障子・掛け軸などを扱うお仕事なので身の回りにいつも白い紙が豊富にあったのだとか。

紙にいつも大好きな絵を描いていたんですね。

それであんなに絵がうまいんだ、と膝を打ちたくなりました。

襖絵(ふすまえ)の見本集などもいらなくなるともらえたそうです。

商品レベルの絵に毎日触れて、真似しながら描いていればうまくなりますよね〜。

もず
もず

松苗あけみが描く植物はきれいですよね。納得!

また、お姉さんの存在が大きいですね。

デザインが好きでおしゃれな方。

当時騒がれていた漫画雑誌『りぼん』を買ってきて一緒に読んでいたそうです。

のちにお姉さんの交友関係からプロへの道が開けることになります。

おもしろかったのはご兄弟がいらしたので少年漫画を読んでいた、というところ。

青年誌でも活躍できる、論理的なコマ割りは少年誌由来のものなんですね。

また、ストーリーを書くのが苦手でイラストを描いていたかったというのもファンなら「そうだろうな」と思いますね。

 当時の少女漫画界がすごく鷹揚だったんだな、と思うのはファンと作家の交流。

漫画家のファンや漫画家を目指す少女たちが先生方のお宅にアポなしでお邪魔するという。

今考えると怖いようなうらやましいような習慣が横行していたんだそうです。

ちょろ
ちょろ

ザ・昭和なエピソードですよね。今だと防犯面が心配。

 実際にプロの生原稿に触れたり、原画を観たりできれば技術的に向上しますよね。

このあたりのエピソードは読んでいてとても面白かったです。

松苗あけみ 一条ゆかりアシスタント時代

 内田善美の紹介で一条ゆかりのアシスタントになったくだりもほんわかしていて笑えます。

もともと、ペンタッチが似ている人がアシスタントに選ばれるというのは目からうろこでした。

よく、ファンからアシスタントになった話を聞きますが、模写していると有利だというのはよくわかりました。

一条ゆかり先生は、テレビに出る時には「女王」キャラを作っているのでしょうか。

実際にはアシスタントにとてもやさしく、食事まで作っていらしたというのは意外。

もず
もず

いわゆる「メシスタント」を雇わずに一条先生が食事を作っていたそう。気さくな方なんですね。

弓月光先生がメカ班として参加していたのは漫画好きには有名な話。

ファンにとっては松苗先生の絵で弓月光先生を見ることができてうれしいところ。

一条ゆかり先生の仕事場はとても空気が良い、働きやすい現場だったそう。

また、松苗あけみが始めた表現法(集中線を束にして描く」「スクリーントーンを主線からずらして貼る」が結構あるというのも初めて知って面白かったです。

松苗あけみというと「瞳」にばかり話題が行きますからね〜。

これは昔、NHKで放送していた『BSマンガ夜話』の影響があるんですが。

時代を感じたのが『純情クレージーフルーツ』の記念すべき第一回。

実子、みよちゃん、桃苗、沢渡くんのアンダーウェア談義。

体育の時間で着替えるときにお互いの下着を見せ合うんです。

あれは当時としては冒険で、他紙ならアウトだったとのこと。

少女漫画界も昭和は保守的だったんですね。

今では考えられません。

松苗あけみは昔、コミックの1/4スペース(雑誌で広告が入る部分。コミックになると漫画家さんのこぼれ話や裏話、イラストが描かれた)に「実際の女子高はもっと漫画的で面白かった」といった趣旨のことを書いていました。

そういう、リアルな女子高のお話は編集者さん(男性)からNGを出された、というのもなるほど、と思いました。

時代は違いますが、萩尾望都も『なかよし』に書いていた時はボツ続きだったらしいですしね。

時代の1歩先を行くものは理解されない、のはいつの時代も同じ。

そのほか、有名な漫画家の名前がたくさん出てくるので70年代少女漫画読みには懐かしい。

 作品中、すごく謙遜されているのですが出会った人たちがみんな親切でとんとん拍子に話が進んだのは「人徳」なんでしょうね。

藤子不二雄Aの『まんが道』や東村アキコの『かくかくしかじか』のような波乱万丈なストーリー展開はありません。

が、いかにも松苗あけみらしい淡々とした描き方がうれしい一冊でした。

もず
もず

マンガ大国日本で、絵柄ですぐにわかる作家さんってすごい!

ちょろ
ちょろ

江川達也の初期作品で、松苗あけみのキャラクターをイメージしたものがあったよね。

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今は亡き吉野朔実の名前が出てきて、ちょっとほろっと来ました。

飄々としているけれど、親切で義理堅いお人柄がさらっと表現されていて吉野朔実の読者としても読んでよかったと思えました。

本の装丁が往年の『ぶ〜け』コミックスと同じなのがうれしい。

往年のファンに向けたサービスが詰まった一冊でした。

ファンなら買いです。

ちょろ
ちょろ

松苗あけみのファンだけでなく、一条ゆかりのファンにもおすすめ。

お付き合いいただき、ありがとうございました。

参考にしていただけるとうれしいです。

松苗あけみの代表作、実はAmazonのサブスクリプション、Kindle Unlimitedで読めます。

読めるものは月によって異なりますが、かなりの確率で『純情クレージーフルーツ』前編・後編が入っています。

松苗あけみの作品は多くが読み放題なのでおすすめです。

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