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お菓子探偵ハンナシリーズの第22弾『チョコレートクリーム・パイが知っている』。
2022年1月13日に発売されました。
以前は年末に新刊が出ていた同シリーズ。
最近は新年のお楽しみになっていますね。
さっそく、あらすじと感想を書いていこうと思います。
前はどんな話だった?という方はこちらをどうぞ。
『チョコレートクリーム・パイが知っている』のあらすじ
主人公ハンナの夫ロスが重婚していたことが分かった前作。
今回はその数か月後、 2月の日曜日から話が始まります。
ロスが既婚者であったことが動かしがたい事実だと知ったハンナ。
ある決意を胸に、家族とともに教会へ向かいます。
その決心とはレイク・エデンの住民に「ロスが既婚者であった」という事実を語ること―。
日曜礼拝には街中の人が集まるので、広く事情を伝えるには最適なんですね。
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日本人の感覚からすると驚きなんですが。
アメリカ人は宗教が絡むと真面目になりますね。
みんなに祝ってもらったのに、意図せずしてだますことになってしまった…
ハンナは心から謝罪します。
最初はとまどっていた町の人々。
事情が分かるとロスに対して怒りを爆発させます。
ハンナは人気クッキー店のオーナー。
父親亡きあとは母親と妹たちの面倒を見てきたしっかり者。
新作クッキーはお客に試食させるし、売れ残りは子供たちに配る気前のよさ。
母親・妹たちは美人なうえに有能。
レイク・エデンで確固とした地位を築いています。
そんな女性をだますなんて、ロス、許すまじ!!
町の人々はロスがレイク・エデンに足を踏み入れたらただではおかない!と
口々にいい、ハンナをなぐさめます。
ハンナは結婚祝いをみんなに返したいと申し出ますが、
失意の彼女にそんな要求をする人はいません。
気の短い男性陣の中にはロスを見かけたらボコボコにする宣言をする人も。
マイクたちは弁護士に相談し、ロスに重婚罪の逮捕状を出します。
数日後、ミネソタは暴風雪にみまわれます。
雪に閉じ込められたハンナと愛猫モシェ。
末妹ミシェルやノーマン、マイクが心配して訪ねていきます。
パントリーにはたくさんの食材、気の合う家族と仲間たち。
わきあいあい。
厳しい現実や大雪を締め出し、快適なアパートでつかの間の休息。
お菓子や料理を作って気を紛らわせる日々を送ります。
運のいいことにバレンタインデーの前。
ハンナやミシェルは友人たちからもらったレシピで新しいお菓子にチャレンジします。
雪が落ち着いたある朝、
ハンナは久しぶりに出勤。
早朝、共同経営者のリサが店に来る前です。
すると、
ハンナの店〈クッキー・ジャー〉の扉をノックする音がします。
業者?と思ったハンナは疑いもせずに戸を開けてしまいます。
立っていたのはなんとロス!
マイクから
「レイク・エデンには近づかない方がいい」と警告されていたロス。
住民が起きて活動する前に町に乗り込んできたんですね。
最初はハンナに甘い言葉で許しをこい、言い訳をしていたロス。
ハンナの心がかたくなだと分かると態度を一変させます。
ロスはハンナに自分の銀行口座に入っていたお金をよこせと要求するのでした―。
ロスに「痛い目にあわせる」と脅されたハンナ。
ロスのお金はすべて彼の銀行口座に移してあることを告げます。
なぜか納得しないで悪態をつくロスはいったん、引き下がり帰っていきました。
ハンナが騒げば近隣の住民が通報、逮捕されてしまうためです。
どうしてロスは銀行に行って自分の預金をおろさないのだろう?
ハンナが考えていると、周囲からの情報で事情が分かりました。
暴風雪のため、レイク・エデンの銀行は閉鎖。
誰もがお金を動かせない状態だったのです。
それにしても、ロスの、お金に対する執着が尋常ではない―
なにかトラブルに巻き込まれているのでは?
どうしてさっさと自分とはかかわりのない世界に行ってくれないの?
ハンナは真相を探るべく、ロスに罠をしかけてつかまえようと画策するのですが…
シリーズ史上、もっとも事件が起こるタイミングが遅い本作。
いったい、ミステリーなのか?という内容です。(笑)
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ミネソタの暮らしぶりやハンナの友人たちが魅力的な作品。
『チョコレートクリーム・パイが知っている』の軽いネタバレ
この先はネタバレを含みます。
作品をじっくりと楽しみたい方はご注意くださいませ。
ロスの元彼女でハンナの友人であるリン。
女優です。
以前、レイク・エデンを舞台にした映画『チェリー・ウッドの危機』で主演を務めました。
ロスがプロデュースした作品ですね。
リンは現在、投資コンサルタントのトムと結婚しています。
が、忙しすぎるトムとはすれ違いが多く、うまく行っていません。
ハンナはロスと結婚する前、ふたりのことをリンに相談する時間がありませんでした。
仕事をしている大人の女性ふたり、しかもハンナは恋をしていたのですから。
「ふたりが結婚すると知っていたらとめたのに…」というリン。
実は学生時代にロスと交際していたリンは別れるときに暴力を振るわれていたんです。
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ハンナの元カレもひどかったけど、ロスもクズですね。
そしてマイクたちの捜査から、ロスが偽名を使っていたことが分かります。
ハンナは一体、何を信じていいのか分からない状態。
ハンナは銀行家の頭取ダグ、マイクと計画してロスをおびき出そうとしますが、失敗―。
なんとロスはハンナの家で頭を撃たれて死亡。
運よくアリバイのあったハンナは容疑者とはなりませんでした。
いつも通り、マイクが止めるのも聞かず、探偵を始めます。
『チョコレートクリーム・パイが知っている』の見どころ
相変わらず魅力的な架空の街 ミネソタ州のレイク・エデン。
冬の描写はシリーズ中、何度もありましたが、
今回の寒波は最大級。
テレビではパントリーを食料品でいっぱいにするように呼びかけ、
住民たちは家にこもりっきりになります。
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アメリカ北部に住んだことがあるちょろの家人が、寒くて幻覚を見るレベルと言っていました。
失意のうちでも体を動かすことで乗り切ろうとするハンナがけなげ。
普段はちょっとあれな母親ドロレスもここ数作は親らしい態度。
アンドレアの出番は少ないですが、末の妹ミシェルは大活躍。
ミシェルがてきぱきと家事をこなす様子にフィクションながらほれぼれします。
ハンナの家族以外では教会の女家長グランマ・ニュードスンがいい味出しています。
グランマは高級補聴器を買ったことを周囲に黙っています。
情報収集のためです。
アガサ・クリスティのミス・マープルシリーズで「女は女同士」という名台詞が出てくる短編があるんです。
あれを思い出しました。
女性の悩みが分かるのは女性だけ。
なにかあったら助け合う―。
好きな言葉です。
若い女性が不幸な目にあうと、年長者がいたわり、アドバイスをする。
そんな理想的な世界が描けるのもハンナシリーズの魅力。
今回出てきたクッキーやケーキ、チキン料理はどれも美味しそう。
アメリカのケーキミックスを使うものが多く、日本で完全に再現するのは難しそうですが。
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中盤に出てくるメレンゲとチョコチップを使ったクッキーは簡単そう。
スロークッカーを使ったレシピは今回も登場していて
アメリカ家庭での普及率が高いのは本当なんだろうな、と思いました。
働いている女性が多いですもんね。
『チョコレートクリーム・パイが知っている』にはお菓子探偵ハンナシリーズのファンなら楽しめる要素がいたるところに見受けられます。
映画『チェリー・ウッドの危機』もそうですが、シリーズに出てきた人物やドレスが再登場。
ファンなら思い出してくすっと笑えること請け合いです。
さて、ここ数作は人生 波乱万丈のハンナ。
『チョコレートクリーム・パイが知っている』のラストも衝撃的です。
これからまた、一年待つと思うと首が長くなりますね…
また、昔みたいな短編を出してくれるといいのですが…。
日本では一年に一度のシリーズもの。
待つ時間が長く感じられますね。
お付き合いいただきありがとうございました。
少しでも参考にしていただけるとうれしいです。
▼続きはこちら。
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